Apple Platformのアプリ開発にはXcodeを使用します。準備回の今回はとりあえず開始するために最初に必要なことを紹介します。
Apple Developer Programへの登録について
アプリの開発とドキュメントやサンプルコードの入手、自己所有のデバイス上での開発したアプリの実行などだけであれば、Apple IDだけで大丈夫です。iCloudで使用しているApple IDを使っても良いですし、開発用にApple IDを作っても良いでしょう。
私自身は開発に使用するApple IDは普段使いとは分けています。理由はApple Developer Programの前進のApple Developer Connectionのときに登録を行っていて、当時はApple IDがまだ無かったからです。
しかし、名前や住所に日本語を使うとおかしくなることがあったりしたときもあるので、分けておいて良かったと思っています。(現在は直っていると思います)
アプリを配布する場合にはApple Developer Programへ登録することをお勧めします。登録には年間費用が必要となりますが、コードサイニング証明書を発行することができ、Mac App Store以外で配布するときに、ダウンロードしたユーザーのところでセキュリティブロックされることなく、実行できるようにするために必要なコードサイニングを行えるようになります。また、Mac App Storeでの配布やAppleのサーバーと連携する機能(プッシュ通知やアプリ内購入など)の開発を行えるようになります。
iOSアプリやtvOSアプリ、watchOSアプリを配布する場合は登録が必須です。macOSアプリ以外のApple Platformアプリの配布はApp Storeのみとなっています。エンタープライズ用の社内配布の場合はApp Storeは使いませんが、エンタープライズプログラム用の証明書が必要となります。
登録の有無やプログラムの種類などについては、次のサイトを参照してください。
メンバーシップの選択 – サポート – Apple Developer
Xcodeのインストール
XcodeはMac App Store版とxip版があります。機能の違いはありません。ニーズに合わせて好きな方を使ってください。私はXcodeが更新されたことを知るために、メインマシンではMac App Store版を使っています。特定のプログラムの開発で古いmacOSとXcodeを組み合わせて使う必要があるときは、xip版を使用しています。
xip版と比較するとMac App Store版はインストールやアップデートに時間がかかるので、サブマシンなどはxip版を使っています。Apple Silicon MacはIntel Macと比較するとインストール時間が短くなりましたが、それでも、xip版と比較するとStore版は時間がかかります。
Mac App Store版の場合
Mac App Store版は「App Store」アプリを使ってダウンロード及びインストールします。手軽にインストール可能です。また、自動アップデートチェックも行われるので、アップデートされたときにすぐに気がつけるというのもメリットです。一方で、アップデートに時間がかかるという弱点もあります。アップデートは時間に余裕があるときに行いましょう。(30分から1時間くらいかかることもざらにあります)
「App Store」アプリで「Xcode」と検索してインストールしてください。

xip版の場合
Apple Developer Programに登録している場合はxip版を使うこともできます。xip版はApple Developerサイトの「More Downloads」ページからダウンロードできます。最新版だけではなく、旧バージョンもダウンロードできます。
ダウンロードしたxip版をダブルクリックし、Xcode.app
が展開されます。Xcode.app
をアプリケーションフォルダに移動して、インストール完了です。

初回起動時のセットアップ
Xcodeの初回起動時やSDK更新時などにライセンス許諾ダイアログが表示されます。XcodeやiOS SDKを使用するためにはライセンスに同意する必要があります。「Agree」ボタンを同意してください。

同意すると必要なコンポーネントのインストールが始まるため、認証ダイアログが表示されます。ログインしているユーザーのパスワードを入力するか、Touch IDで認証してください。認証に成功するとコンポーネントがインストールされます。

インストールが完了するまで待ち、完了すると、Welcomeウインドウが表示されます。

Apple IDを設定する
次のように操作して開発に使用するApple IDをXcodeに設定します。Apple Developer Programに登録した場合は、登録したApple IDを使用してください。
(1) 「Xcode」メニューから「Preferences…」を選択します。
(2) 「Accounts」タブを開きます。
(3) 左側のリストの「+」ボタンをクリックします。

(4) 「Apple ID」を選択し、「Continue」ボタンをクリックします。

(5) 設定するApple IDを入力し、「Next」ボタンをクリックします。

(6) パスワードを入力し、「Next」ボタンをクリックします。
(7) 多段階認証のダイアログが表示された場合は、指示に従ってワンタイムパスワードを入力します。
(8) ログインに成功すると、リストにApple IDが表示されます。

連載一覧
この記事は「Xcodeの使い方」というシリーズの記事です。同じシリーズの他の記事は次のリンクを開いてください。